色の底・記憶の淵/藤永覚耶・石川裕敏 2人展 /Masayoshi Suzuki Gallery

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本学卒業で非常勤講師の藤永覚耶さんの二人展のお知らせです。
5月30日(土)~6月21日(日)
12:00~19:00 [毎週火・水休廊]
Masayoshi Suzuki Gallery
http://www.masayoshisuzukigallery.com/pr…/exhibitions_s.html

藤永は撮影された画像を手がかりに、綿布の上に色彩の点を置いてゆき、最後にそれらを溶かす。現象を通して時間をかけてインクを動かすことで、綿布に滲みや痕跡として像を浮かび上がらせる。片や石川は、主にキャンヴァスに三原色から作る「黒」で地塗りの様な作業で描き始め、その作業を幾度となく繰り返す間に明度・彩度が変化していき、時に色相の変化を招きながら画面は微妙な表情を表していく。その表情を手掛かりに構図や色やライン等が徐々に決められ作品が完成されていく。
このように藤永は、現実の光景やものが起点となりインクを溶かしていく事によって像が立ち現れてくるのに対して、石川は、色を何度も塗り重ねていく事によって抽象的なイメージが現れてくる。
全く逆の行為によって描かれていく2人の絵画は、お互いの作家の記憶の淵に潜んでいるイメージを色彩を伴った物質の戯れとの間で甦らせようとしているのかもしれない。